精神科搬送| 2026.02.10

【精神科搬送】― 信頼と危機管理でつなぐ、その一歩 ―

2月某日、宮城県内にて精神科搬送を実施しました。


対象は40代男性。
長期の引きこもり、幻覚症状、被害的言動がみられ、統合失調症が疑われるケースです。


ADLは自立しているものの極度の痩せがあり、身体的衰弱も懸念される状態。

過去には家庭内暴力の既往があり、警察介入歴もあるとの情報がありました。


家族に対する警戒心が強く、特定の家族の関与は症状を刺激する可能性が高い状況。

そのため、第三者による専門的介入が必要と判断されました。

万全の体制

当日は
・看護師
・メンタルケア心理専門士(元消防士)
・元消防士

による精神科搬送チームで出動。 さらに安全確保のため、警察にも協力を要請しました。


スタッフは防刃ベストを着用。 威圧のためではなく、突発的な行動から患者様・警察官・スタッフ全員を守るための予防的措置です。


長距離搬送

逃げ場をつくるアプローチ

精神科搬送で最も危険なのは、 本人が「追い詰められた」と感じる瞬間です。

心理士は“選択肢を奪わない”関わりを徹底しました。


「話を聞いてもらうだけでも大丈夫です。」

「決めるのはあなたです。」

「確認しに行くだけでも構いません。」


強制の構図をつくらない。
“連れていかれる”のではなく、“自分で動く”という感覚を残す。

徐々に心理士に心を開きはじめましたが、車両へ向かう段階で足が止まりました。


言葉は交わされるものの、前へは進まない。 時間だけが経過していきました。


このまま長引けば、再び感情が揺れ動く可能性がある。
チームは次の一手へ移ります。

感情の兆候と、その一瞬

元消防士と警察官が左右からわきを支え、 包み込むように最小限の保持を実施。 転倒および突発的な動きを防ぐための安全確保です。


その間、心理士は一歩引き、 全体を俯瞰できる位置へポジショニング。 男性の視界に入るよう静かに立ち続けます。


「触るな!」


強い拒否の声。一瞬で張り詰める空気。
しかし心理士は視線を外さず、落ち着いた声で伝えました。


「大丈夫です。怪我はさせません。」


安心を切らさない。緊張が続く中、男性が心理士を見て言いました。


「わかった。このひとだったら、一緒に行く。」
その言葉をきっかけに身体的介入を最小限へ切り替え、 心理士が歩幅を合わせて移動。
結果、大きな外傷なく車両へ乗車。 安全に医療へつなぐことができました。

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