JPAS災害搬送研修
こんにちは、宮城アンビュランスです。
先日、私たちは全民救患者搬送協会主催「JPAS災害搬送研修」を受講してきました。今回の研修を経て、私たちは宮城県で唯一のJPAS登録事業所となりました。研修の中で私が感じたこと、そしてこれからの私たちの想いについて少しお話しさせてください。
一糸乱れぬ「指揮系統」が命を繋ぐ
災害時には、私たちの「助けたい」という想いだけでは空回りしてしまいます。
研修で学んだのは民間救急の指揮系統でした。
『大規模災害時、民間救急は単独で動くのではなく、県のDMAT調整本部(搬送調整班)の指揮下に入る』という原則です。
現場の混乱を避け、一分一秒を争う状況で効率的に動くためには、公的な組織と私たちが「一つのチーム」として機能しなければなりません。この連携あって初めて、民間救急はその力を100%発揮できるのだと痛感しました。
DMAT(災害派遣医療チーム)を補完する役割
研修ではもう一つ、私たちの重要なミッションが明確になりました。それは、最前線で活動するDMATの活動を「補完」するという役割です。
混乱の中、DMATが高度な救命処置に専念できるよう、私たちはその周辺にある膨大な搬送ニーズを支えます。医療のバトンを途切れさせないよう、専門チームの動きを後方から力強くバックアップする。この「補完関係」こそが、被災地の医療崩壊を防ぐ鍵になるのだと学びました。
意外だった「被災地のニーズ」
研修では能登半島地震の具体的なデータが共有されたのですが、非常に驚いたことがありました。
避難所などからは怪我(外傷)の搬送が多い一方、高齢者施設などからの搬送では、地震による直接的な怪我はほとんどなかったという点です。そこにあったのは、慣れない環境による持病の悪化や、ADL(日常生活動作)の低下でした。
「怪我人を運ぶ」のは私が以前所属していた消防救急の基本ですが、被災地で求められていたのはそれだけではなく、環境変化に弱い高齢者の方々の生活の質を維持しながら運ぶ『医療・福祉的な搬送』だったのです。私たちが日々向き合っている搬送の延長線上に、災害支援の真髄があるのだと深く考えさせられました。
数字に驚かされた「民間救急」の責任
もう一つ、強く印象に残った数字があります。能登半島地震で陸路搬送された方のうち、約57%(621名)が民間救急車によって運ばれたという事実です(全民救様の統計より)。
消防や自衛隊が命を救う急性期搬送を支え、その後の「地域の医療」を支えるのは、私たち民間の役割。この半分以上という数字に、改めて自分たちの仕事の重みと責任を感じ、身が引き締まる思いでした。
等身大の私たちの決意
「全国の被災地へ今すぐ駆けつける!」と言いたいところですが、正直に言えば今の私たちにそれはまだ大きなハードルです。でも、これだけは心に決めています。
「もし、宮城で何かが起きたら。その時は、私たちが先陣を切って動こう」
地元の道を知り、病院を知っている私たちだからこそ、宮城県内の搬送ならどこよりもスムーズに動けるはず。そのために、私たちは宮城県唯一の登録事業所として、全民救・DMATとしっかり手を取り合える準備を整えます。
